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    「大統領や首相の代わりはできるけど、勝新の代わりはだれができるんだ?」

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       「勝手に」勝新の弟子になったという田崎健太による、本格的な勝新太郎の評伝『偶然完全 勝新太郎伝』、一息に読んだ。
      コーヒーを入れに行く時間以外はずっと椅子に座りっぱなしで読み耽った。

      著者の田崎さんは週刊ポストの記者時代に勝新と最後の数年間一緒に過ごした人で、勝新を直に知っている数少ない人。
      彼が勝新の本を書いたきっかけは、「勝が不当に軽んじられている」と感じたことだったよう。
      若い世代は勝のことを忘れ、石原裕次郎の二十三回忌は大々的に報じられたのに、勝の十三回忌はほとんど報じられなかった。
      確かに、裕次郎と比べて知名度は低いかもなあ、と思った。
      で、そんな中、勝新と親しく付き合ったことのある人の手による伝記が出た、というのは、勝新に興味を持つ若輩者としては非常に嬉しいことです。


      作者のアツい思いはもちろん、勝新太郎という男の人たらしっぷり、どれだけ「勝新」が人々に愛されていたかが伝わってくる一冊だった。
      勝新が凄いのは、普通なら嫌われ見捨てられて当然の様な行動を取っていても、なぜか許されてしまうところ。
      朝まで飲むのは当たり前、それで遅刻も当たり前、台詞は覚えてこない、すぐに怒る、なのに「勝っちゃんなら仕方ない」と許されてしまう。まさに人たらし。
      本にも書いてあったけど、勝新は彼の代表作『悪名』の朝吉にそっくりだ。気風が良くて、腕っ節が強くて親分気質だけど弱い者の味方で、卑怯な手で弱者を苛める人間は決して許さない。

      感動した台詞がある。
      「騙したい奴には騙されてやればいい」
      どんなに怪しげな人間相手でも、この精神で臨んだらしい。人を疑うことを極度に嫌った。そしてそのせいで、本当に騙されてしまうこともしばしばあった。

      それから、クラブで渡すチップが多すぎることを気遣った付き人が勝手にチップを少なくして渡したことが判明したときの台詞。
      「おい、俺がなんでチップをあげているのか分かっているのか?俺は勝新太郎だ、すごいだろうって渡していると思っているのか?分かるかい?俺の周りは、みんな俺のお師匠さんだ。教科書だ。あれは授業料なんだ。馬鹿野郎。それをけちる奴がいるか」

      借金を抱えて会社が倒産して報道関係者に追いかけまわされているときでも、可愛がっている若者が苦境にあると知ると、その人のために新たに借金をして渡したという。

      そういうことが、恩を着せる訳でもなく、本心から自然に出来る人だったんだろう。
      そこには勿論、自分が「勝新太郎である」という意識から来るポーズもあっただろうけど、それも含めて嘘が無い。

      読んで思ったのは、勝新は朝吉に近いけれど、朝吉よりもっともっと精神的に弱い部分や、イメージに反して繊細で神経質な部分があったんだろうな、ということ。
      そして、そんな部分があるからこそ更に人に好かれたんだろうなあ、と思った。
      私も、そういう部分が見えるから勝新ってカッコイイ、と思ったのを覚えている。

      あと、本筋からは外れるけど、田中徳三は陽で三隅研二は陰、という話も面白かったな。
      監督の性格まで気にして観たことはなかったけど、なるほど言われてみるとそういうところも影響するのかも。興味深い。

      市川雷蔵との話は、もっと読みたかった。
      同期なのに、最初からスターとして特別扱いを受けていた雷蔵と、10年近くもヒット作を持たなかった勝新と。
      二人を見てると、自分に合ったことをすることが大事ってのがよく分かる。
      二人が同時にデビューした『花の白虎隊』を観た時、話が詰らないのもあるけど、勝新の個性がまるで活かされてなくて、最初は誰だか分からなかった(笑)。白塗りで眉を書いてつけまをつけた勝新太郎。そりゃ売れないわ。
      でも、もし雷蔵はそれが滅茶苦茶サマになっている。どっちがいいとかじゃなくて、合うことをやるべき。
      雷蔵も勝新も両方好きだな〜私は。

      「雷蔵が亡くなったと聞いたとき、勝は頭の中で雷蔵がふっと笑ったような気がした。雷蔵が手鏡に顔を近づけて、指先と毛筆で化粧する姿が勝は好きだった。大映の俳優会館の廊下で、白檀のようなあ香りがすると、少し前に雷蔵が通ったのだと分かった。もうそうした匂いはしないのだと寂しくなった。」


      石橋蓮司・原田芳雄の話がちょこちょこ出てくるのも嬉しかった。
      http://www.youtube.com/watch?v=sV2fOZlGaaw

      最後に、田崎さんが言われた言葉を引用。
      「『(・・・)いずれ俺が必要でなくなる時が来るだろう。その時は、何も言わず、離れていけばいい。無理に此処へ顔を出さなくてもいい。俺は何とも思わない。それでいいんだよ』冗談で言っているのだと思って勝を見ると、真顔だった。」

      カッコイイことを言うよな。そして愛がある。
      8sevenstars8 * 評伝・自伝 * 13:14 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

      自叙伝・日本脱出記

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        日本のアナーキスト、大杉栄の自伝。
        アナーキズムについて知りたかったんだけど、それはこの本じゃあんまり見えてこない。
        考えてみたらそりゃそうだ。

        大杉さん、相当の読書家で文学への関心も強い人だったのね。
        しかし私はやっぱり、政治的目的を伴ったブンガクは好きじゃない。いや、この本がそうって訳じゃないんだけど。

        読み物として、それなりに楽しめる。
        武士の美しい死に方を研究していた、という話には共感。
        彼の死に方もなかなか悪くない死に方である筈。
        あとは、伊藤野枝、神近市子との刃傷沙汰の詳しい経緯なんかが読めたのが面白かった。
        解説に載ってた神近市子側の弁明と合わせて読むと更に面白い(笑)。
        これだけモテるということは、相当人間的魅力があったのだろうなあ。
        ま、でも、私は辻潤の方がずっと凄いと思うけど。
        8sevenstars8 * 評伝・自伝 * 17:18 * comments(0) * trackbacks(0) * - -
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