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    テオフィル・ゴーチエ(死霊の恋 他)

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      魔術師ゴーチエの短編集。訳者は田辺貞之助。
      田辺さんはユイスマンスとかレオン・ブロワとか、何気に幻想系の作家をよく翻訳している人で、気思えば随分お世話になっている…。

      この短編集は、表題作『死霊の恋』以外全部初読。
      オールきれい系だった。

      ・死霊の恋
      実際は吸血鬼である遊女クラリモンドと、純真な司祭との純愛。
      「淫楽の限りを尽くした」なーんて表現が出て来たけけど、お互い心から愛し合っていて、他の異性には目もくれずに二人で「淫楽の限りを尽くした」んだから、それの何が悪いんだ、と感じた。
      誰も傷つけてないし、二人にはまったく罪は無い。寧ろ素晴らしい愛じゃないか!
      二人の破滅は、愛を知らない哀れなセラピオン師の嫉妬のせい。
      主人公の司祭が最後までクラリモンドを忘れられないところが、とても素敵。
      そういえばH.H エーヴェルス(ドイツの幻想作家)の短編『蜘蛛』で、主人公の精気を吸って死に至らしめる女の名前が「クラリモンド」だった気がするけど、あれはここから取ってたのかもなぁ…。


      ・ポンペイ夜話
      ナポリのストゥーディ博物館に陳列してあった、ポンペイの美女の体の一部に惹きつけられたオクタヴィヤンは、ポンペイで二千年の時を超えてアッリウス・ディオメデスの娘マルチェッラと愛し合う。
      これまた素敵な話!
      私の夢見る世界。そしてこれも、やはり純愛。
      マルチェッラは美と若さと快楽とを愛し、キリスト教徒であるマルチェッラの父親はそんな娘を許さないが、マルチェッラも、オクタヴィヤンも。まったく悪くないはず。
      古代への夢に溢れた秀作。


      ・コーヒー沸かし
      死んだ娘がコーヒー沸かしになって踊る話。
      怖いというより可愛いな。


      ・オニュフリユス
      若い画家オニュフリユスが、悪魔を見る幻覚(?)に悩まされ、遂に発狂してしまう話。
      描写が、真に迫っていて好きだった。でも少し悲しくなった。「ニートになりやすい人の特性」とかいう2ちゃんのテンプレを思い出してしまったからかw


      さすがボードレールをして「十全無瑕の詩人にして完璧なるフランス文学の魔術師」と言わしめるだけのことはある。作者がまったく隠れてしまっているところが、この人の凄いところのような気がする。
      日本でいうと久生十蘭かな〜と、漠然と思った。あの人も「文体の魔術師」だったし。確か。
      しかし死ぬほど好きにはなれないであろう作家。モーパン嬢は読みたいけどね。

      8sevenstars8 * 外国文学 * 00:17 * comments(0) * trackbacks(0) * - -
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