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    Kori Kori Kori...

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       辻潤、武林無想庵、高橋新吉、と追いかけているうちに見つけた、

      ↓『日本文学における美と情念の流れ』シリーズ

      現代思潮社から出ているんだけど、これが最高というか最強というか・・・。
      古代から近代まで全時代の文学作品からテーマに沿うものを選んで収録したアンソロジーで、貴重なものも多いし、本当に面白い!!是非全巻集めたい!!!

      今は『風狂』と『地獄』が手元にあって、気になるものから読んでいます。

      まず、「風狂」から。
      (というか「風狂」という言葉が最高すぎる。座右の銘?にしたいw)

      武林無想庵『ピルロニストのように』
       武林無想庵は辻潤の盟友で、よくお互いの本に名前が出てくる人。曰く、「エレガント・ボヘミヤン」!

       私はこの『ピルロニストのように』と『性欲の触手』しか読んだことがないけど、自嘲と自負に溢れた書き方と、その愚行すべてを「こういう傾向を持って生まれて来たのだから止むをえないと思っている」とするところ、虚無的なところ、が凄く好きです(かなり辻潤っぽい)。
       以下、特に好きな部分を引用。熱烈に恋する人妻との一夜を過ごしたあと、その女と別れる描写。
       
      「 三浦半島に別れを告げて、東海道線の列車へ乗換えると、私の酔いは一時に発して来た。空気枕にあてた頭が、車輪の音と呼応してガンガン鳴った。そうしてどこからともなく大風の吹きすぎるような悲壮な声がして、
      −虚無だ。虚無だ。一切が虚無だ…。
      −破壊、破壊…破壊の外に人間のなすべき事はない
      ……と、しきりに絶叫して、絶叫して、絶叫しつづけているようにきこえて来た。

       夢を見ているのか、目がさめているのか、私には分からなかった。」

      辻潤『浮浪漫語』
       こちらは、講談社文芸文庫に入っているので(『絶望の書・ですぺら 辻潤エッセイ集』)、そっちの方がお得かも。
       この中で、彼は「酔生夢死」という言葉への愛を語っていて、それが大好き。

      「「酔生夢死」という言葉がある。僕はこの言葉が大好きである。願わくば刻々念々を酔生夢死の境地をもって終始したい。(…)ところが、実際、却々しれが出来かねるのである。人生そのものに酔っていられるなら、なにもわざわざ酒や阿片の御厄介にならなくてもすみそうなものだ。」

      「「酔生夢死」は屡々軽侮の意をもって僕のようなヤクザ者の形容詞に用いられてきた。「国に奉仕し」「社会に貢献し」「人類の愛に目ざめ」「意義ある生活をおくり」(等)−というような言葉の正反対が、どうやら「酔生夢死」にあたるらしい。」

      社会的で有用でないことを目指した(ちゃちな反抗ではなく)中島らもに繋がるものがある、ような気がするのです。

      辻潤についてはまた改めて。

      ・平賀源内『萎陰隠逸伝』
       タイトル、「なえまらいんいつでん」と読みます。バリッバリの下ネタ(笑)。
       面白い人だ…。
       しかも号が「陳勃姑」「勢臭斎」。読み方は…ご想像にお任せしますw

      ・内田百痢愡街睨校辧
       常に山高帽子を被って外出し、顔が膨らみ続け、幻聴を聞き、狂人の傾向があるとみられる主人公による一人称語りの小説。
       「手がどうして動くのだらう。不思議だなあ」
      という一文が、妙に怖いです。
      出てくる人皆少し狂っていて、それが世界ってものだろうかと感じさせる。
      最後自殺する友人は、多分芥川龍之介がモデル。最後に気付いた(ひょっとして遅い?)。

      ・葛西善蔵『酔狂者の独白』
       初、葛西善蔵。
       生活苦を語る私小説作家ということで、結構暗い。
       アル中で貧乏で肺病で神経症もち。本人は肺病で書けない、と主張している(喀血までしている)のに家族は「酒から来る神経症が原因だから飲まなければ書けるのに!」って感じで責めてくる。
      本人は、アル中であることは認めても、それによって気がおかしくなることを極度に恐れて、そんな家族に憤っている。
       突然話が切り替わるのでちょっと読みにくかった。


      次、「地獄」より。
      ・広津柳浪『黒蜥蜴』
       真面目な大工・与太郎のところへ嫁に来たお都賀は、岳父・吉五郎のあまりにもひどい言動に耐えかね、「与太郎のため」とこの父親を殺し、自身も遺書を残して自殺する・・・という、まったく救い用のない話。
       しかも彼女は「名から松皮と称ばるる黒痘痕、眼さえ左には星入りたり、鼻も口も尋常ながら、眉毛は赤土の土手に、枯木の扶疎(まばら)なるも斯くや。」という容姿で、吉五郎には「隻目の蟾蜍」とまで呼ばれて蔑まれていて、とことん可哀相な人。

       与太郎は最後まで良い人として描かれてるんだけど、この父親(無職の性悪の上に酒乱)のせいで、貰った奥さんに六人までも逃げられているというのに怒らないのはどうかしている。

       広津柳浪は最貧層のとんでもない生活を描いて社会悪を暴いた人らしいのだけど(「深刻小説」)、ほんと、現実っていうのは怖いですね・・・。

      ・磯部浅一『獄中記』
       二・二六事件の首謀者の一人、磯部浅一が、同士の処刑直後から自信の処刑直前まで、約一年間つけていた獄中日記。
       噂に違わぬ恐ろしさでした。とにかく恨み、恨み、恨み。
       絶対に成仏したくない、地獄へ行って悪鬼羅刹になって必ず復讐を遂げて見せる、と言い続けている。夜眠れなくなりそう。文字通り「地獄」。
      怖い…↓

       「何にヲッ!殺されてたまるか、死ぬものか、千萬發射つとも死せじ、断じて死せじ、死ぬることは負ける事だ、成仏することは譲歩する事だ、死ぬものか、成仏するものか。
       悪鬼となって所信を貫徹するのだ、(…)余の祈りは成仏しない祈りだ、悪鬼になれる様に祈つているのだ。優秀無敵なる悪鬼になる可く祈つているのだ、必ず志をつらぬいて見せる、余の所信は一分も一厘もまげないぞ、完全に無敵に貫徹するのだ、妥協も譲歩もしないぞ」

       私がこの日記の存在を知ったのは三島由紀夫の『英霊の聲』の解説なのですが、三島と磯部の関わりについては、美輪明宏が三島の後ろに磯部の霊を見た、とか降霊術に失敗したときに三島が大真面目に「磯部の霊が邪魔をしている」と言ったとか、いろんな伝説があって、オカルト好きには堪らない話題であるともいえます。いろいろ怖すぎるので。

       中でも一番怖いのが、川端康成夫人の秀子さんが、川端の死後、自宅(川端邸)で霊となった三島を目撃した、という話…。詳細は最近出た東雅夫『文学の極意は怪談である』の川端康成の項にて。ホント怖いです。


      今回はこの辺で。
      まだ読んでいないものが多いので、読んだらまた適当に書いていこうと思います。

      8sevenstars8 * 日本文学 * 18:15 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

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