@赤坂レッドシアター
原作:鈴木創士
脚色・構成・演出:芥正彦
人形演出:結城一糸
音楽:佐藤薫(EP-4)
アントナン・アルトーを、あやつり人形で表現する、という試み。
予想とは大分違った。
なんか、感想書きにくい。
アルトーの性的な部分をかなり推してたけど、それがあんまり好みじゃなかった。
それから芥さんのあまりにも自分大好きな演出も・・・(笑)。
むしろ上演後のアフタートークの方が面白かったな、正直。
会場を舞台にしてしまう芥さん、自分のペースを崩さない鈴木さん。
「討論なんてつまんないんで、勝手に話しますけど〜、」
と言う鈴木さんになんだか拍手を送りたくなった。
なんとも言えない良い声と発音だった・・・。
このアフタートークで分かったのだけど、原作のほとんどを芥正彦が自分流に変えてしまっていたらしい。
そのせいで私の持っている印象とは何か違うアルトーになったのじゃないか。私のは数冊の訳の分からないアルトーの翻訳本と、鈴木創士『アントナン・アルトーの帰還』によって出来ている漠然とした印象なので。
「統合失調症」という言葉に含まれる傲慢さ、についての話に、同意。
誰もが皆狂っているのに、「統合」されたものを「健常者」は持っている、という考えは、傲慢。
質問コーナーでは、観客の男性が自分の入院体験を話し出し、あれがなかなか衝撃的だった。
「大きな病気をして下半身が動かない状態だったので、大小便すら看護婦さんの手を借りなければならなくて、いつしかその羞恥を楽しもうと思うようになっていた。」
「看護婦さんに尻の穴に指をもっと入れて、と伝えたとき、作業として何の恥じらいもなくその行為をしていた彼女がパッと頬を染め、明らかに羞恥心を覚えているのが分かったんです。このとき、僕たちの間は、単なる患者と看護婦の関係ではなく、エロティックなものになったのです。」
大体こんなような事を言っていて、笑いが起こっていたけど、笑えなかったなあ〜。なんか切実な体験だったのだ、多分あの人には。
それからもう一つ印象的だったのが、今書いたこの男性が、
「体の器官を失ったとき、私の頭の中に浮かんだのは、アルトーだったのです」と言ったとき。
鈴木さんが、
「そうかぁ、それじゃ、僕と一緒だ」
と言って笑った。
なるほどこれがアルトー体験かあ・・・と、何故か納得。そういう、理屈で説明できない作用を持っているところがあるんだろうな〜アルトーって。
難しい。